ヤミ金摘発と今後の貸金業法
年収の3分の1以下に制限する「総量規制」や新たな出資法を導入した改正貸金業法の完全施行後、貸金業法違反(無登録営業)の逮捕者が急増している。
近年の多重債務問題が社会現象になり、改正法に伴って貸金業者の消費者への貸付けも厳格化。しかしその背景には、未だに社会問題とされているヤミ金融問題が課題として存在する。
これまでのように借り入れができない債務者がヤミ金に手を出してしまう。そのような傾向を厳しく取り締まるようになったことから、無登録業者の逮捕者が2011年になり更に急増、従来の違法業者は以前のように容易な違法運営は当然ながらできなくなっている。
第5回の貸金業務取扱主任者試験の結果発表がそれを象徴しているが、貸金業は法的にかなり厳格な監視をされるようになったことから、今後は安易に貸金業への参入ができない。
このような煽りを受けたヤミ金業者は、クレジットカードの現金化や空ローンといった方法で融資を積極的に行うようになり、この現金化商法は激増。当然、クレジット会社やローン会社はこういった現金化は不正行為としている。
消費者センターでは、現金化商法を巡っての被害相談が前年の約3倍も寄せられたという。その中でも専業主婦の被害相談が多く、総量規制の導入で、専業主婦の借り入れに配偶者の同意が義務付けられるなどした影響が招いたことが考えられる。
しかしながら、被害が増加している新たなヤミ金に対し、貸金業法の「無登録」に加え、「出資法違反」での摘発を可能にする動きもみせている。主婦や中小企業の資金繰りが厳しくなっているなど、施行後の問題点を整理し、迅速な対応と議員立法による改善を目指し、これらを対策する更なる法整備が必要だろう。
【2011年2月18日】