改正法の落とし穴
貸金業務取扱主任者は新しい国家資格の制度として改正された。それと同時に多重債務者問題の緩和を目指して施行された改正貸金業法。総量規制で借入限度額が収入の3分の1となり、消費者金融などは大きな打撃を受けている。この改正貸金業法によって、違法な貸金業者撲滅を図っている中、法の隙間を掻い潜る商法も増えている。
衰退する消費者金融の代わりに目立ち始めているのが、クレジットカードのショッピング枠現金化をうたう業者である。
ショッピング枠現金化とは、クレジットカードで価値のない商品を例えば10万円で購入させ、8万円をキャッシュバックとして顧客に返すといったものだ。残りの2万円は手数料として、実質、業者の売上げとなる。
だが、クレジットカード会社は、こうした取引を認めていない。クレジットカード業界ではこのような換金目的の取引行為は規約違反としており、万一、取引行為をした場合は強制退会と一括返済を迫ることもあるとしている。実際のところ、カードで購入した商品は、その支払いが完済するまでの所有権はクレジット会社にある。
このように、たとえカード利用者が規約違反を犯しても、業者は罰則を受けることはない。改正法が実施されたとはいえ、この現象をはやく喰い止めなければ、多重債務者を生む環境はまだ生き残ったままである。
【2010年11月8日】